初めてのベトナム―2010年ベトナム旅行記 その4.

1月12日(火)

 早朝5時車中で目覚める。鎌田は髭剃りのため通路へ、渡久地に出会う。5時半SAPA駅到着、さすが北ベトナムの山間地帯で、息が白く見えるほど冷えている。駅前のフオー屋さんで朝食、鎌田は初めてのフオーに喜ぶが、不評で食べなかった人もいたとか・・・。寄合は地元の人から水煙草の吸い方を習っている。

ここから、地元の親切兄さん(とくに富川には親切)ガイドが着く、彼は日本語が話せないが地元には詳しく親切である。バスでホテルへ、傾斜地を利用した瀟洒な高原ホテルという感じ、泊り客はほとんど欧米人であった。だいいち、ロビーの暖炉に薪の火が赤々と燃えているのが初めての体験、部屋割で鎌田は寄合と同室、暗く古い感じの部屋である。

 SAPA観光へバスで出かける。親切お兄さんガイドは私たちの乗降に手を貸してときには抱き抱えてくれる。SAPAは少数民族の集まる街。薔薇園(ほとんど咲いていなかった)や古い時代の遺跡、大きな岩石に古代人が描いた絵文字、営々と築かれた段々畑、霧で50m先の視界がないなかをバスが走る。いったんホテルへ帰り昼食する。

 

 午後は、ホモン族のカットカット村の見学であったが、通行困難で予定変更、中越戦争で破壊された教会跡へ、印象深かった。近くの家の前の小さい姉妹の写真を撮影したら、あとで聞いたら金を請求していたという。こんな田舎でも拝金主義かとがっかりする。そのあとの赤モン族もそうであった。

 赤モン族の部落の入り口にバスが着いて驚いた。私たちは、たちまち赤い大きい座布団のような烏帽子の女性(平均して決して若くないが、なかには子供を背負った人も)に取り囲まれた。『いい鴨が来た』という訳である。鎌田は最初から最後まで3人の女性にマークされた。年齢から家族構成からなんでも訊いてくる。これに答えたのが悪かった。彼女たちの手に乗った訳である。

 降り続く雨のなかの田舎道を橋を渡り迷い牛に出くわしながら約20分、とある民家に紹介された。生活などについて質問するなか、土産物販売が始まった。寄合は一番偉く金もちに見えたようで多くの女性にもてていた。鎌田もマークしていた3人から申し訳程度の買い物をしてその代わり写真を思い切り撮影した。帰途、SAPAの人民委員会の建物の庭の満開の緋寒桜をみた。沖越友好協会の寄贈したものとは違うとのことであったが、この地で日本から送られた桜が今も花開いていることにはある感慨を覚えた。

 ホテルへ帰って、SAPA市内へ、まさに少数民族の結集する街である。市場で店を出す人も買い物をする人もみんな異なる少数民族、写真に凝っている鎌田も写真のプロの寄合も夢中で撮影して回る。買い物している場合ではない。

 なんと6つの民族(タイ、ミャオ、ヤオ、モン、ザオ、ジアイ族など)がこの場所へ寄り合うという。歩き疲れ写し疲れた寄合と鎌田は石造の珍しい教会の前でひょっこり出逢う。どちらもおしっこちびって漏れそうな状態、必死に教会の人にトイレを訊ねて危うく難を逃れる。

 ホテルでの夕食後は、鎌田は女性陣とともにスカーフや刺繍などの店での買い物に付き合う。
 その夜は、寄合・鎌田部屋で、やっと隣室の平野、渡久地、富川や新垣らと酒盛り、遅くまで賑わう。